鹿の皮で作った靴

種別・分類 着る・装う(衣服・装身具等)
アイヌ語名 ケリ
yuk-keri
和名 鹿の皮で作った靴
サイズ(mm) 長235 幅105 高170
材料・材質 履物/獣皮製
製作者 萱野茂
収集(製作)時期 1972/昭和47年
収集(製作)地域 二風谷
説明1(使用場所・方法) 「ユクケリは鹿の脛の毛皮で作った足首までの深さの靴で、アイヌはこのユクケリをいちばん多くはきました。(文献1-P71)」▼「こうすると、雪の斜面を登るとき、雪に毛がささって滑り止めの役目をするわけです。逆に下り坂になると、危ないくらい滑ります。その滑る特徴を利用し、エキムネクワという山杖でうまく梶をとって滑りおり、先まわりして獲物を待ち伏せすることもできました。このことをクワエチャラセ(杖滑り)といいますが、このユクケリもある意味では狩猟用具といえるかもしれません。(文献1-P71)」▼
説明2(製作方法) 本当に良いシカの脛皮だけで作ってある。鹿の皮は弟の留治がとってきたものか。▼「上等のユクケリ一足作るためには、鹿二頭分の毛皮が必要でした。というのは、鹿の毛皮のどの部分でもよいというのではなく、毛が短くしかも皮が厚い脛の毛皮だけを用いて作るためです。底は前足の皮を使いますが、毛の方を外に出し、その毛先がうしろを向くように作ってあります。(文献1-P71)」▼「ユクケリの作り方は、脂やあま皮をこそぎとって干してあった前足の脛の毛皮をぬるま湯にさっと漬けて柔らかくして、毛を下側に、毛先をうしろ向きにして置きます。その上に足をのせ、つま先を甲の上に折りかえし、かかとの部分はたてにつまんで縫い、靴底を作ります。次に、かかとのところから足のくるぶしの上までくるくらいの長さに皮を切って足首のうしろから前に回し、もう一枚の皮を毛先をつま先に向けて甲に当て、それぞれ靴底の皮をおおうようにして縫いあわせます。足首の部分は広くあけ、全体的にゆったりと作ります。そして保温と汗とりのためにケロムンという草を入れてはき、つるうめもどきの皮で編んだ縄で足首をしばります。この靴紐のことをケラッといいますが、つるうめもどきの皮でなった縄はどんな寒中でも凍りついてほどけなくなったりすることがないので、ケラッは必ずといってよいほどつるうめもどきを使いました。なお、毛皮を縫いあわせる糸は、昔はスンチ(腱)やつるうめもどきの皮を細く裂いてよった丈夫な糸を使い、ルウェケムという太い皮針でひと針ひと針かがるようにして縫っていきます。(文献1-P71.72)」▼
博物館資料No. NAH-M-19910656
収蔵場所 平取町立二風谷アイヌ文化博物館
文化財指定 国指定重要有形民俗文化財

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