切り伏せ刺繍をした袷の着物

種別・分類 着る・装う(衣服・装身具等)
アイヌ語名 チカペ(チニンニヌ
ci=kar-kar-pe(c=ninninu-p)
和名 切り伏せ刺繍をした袷の着物
サイズ(mm) 丈1230 最大幅1250
材料・材質 木綿衣/男女
製作者 貝沢あんれとうく
収集(製作)時期 未確認
収集(製作)地域 二風谷
説明1(使用場所・方法) 男物、女物とは決まっていない。木綿地の着物の上にアットゥシの着物と、2枚を重ねるのがアットゥシの正式な着方である。(萱野れい子)▼昔は右前に着た。アイヌの着物の正しい畳み方は、両袖に手を入れ、それを合わせたまま、一方の手で押さえながら引っ張り裏返しにする。両袖を重ねたまま、着物の表地が内側になる。▼昭和20年代、茂の父親(清太郎は昭和31年没)がお葬式に出たときには、アイヌの着物を持参した。その時の装束は、通常つける兵児帯を前で締め、後ろへまわして着た。葬儀に出た後は、すぐ着物や首飾りを家に入れずに、一晩ぐらいは干して風に当てることをしていたが、これをレラカレ(風にあてる)と言った。▼「これは木綿のあわせの着物に切り伏せをして、その上に刺しゅうをほどこした、晴れ着ともいえる着物です。(文献1-P60)」▼「着物の模様やその刺しゅうの仕方は地方によって特徴があり、模様を見るとどこの地方の着物であるということがだいたい分かります。(文献1-P61)」▼「新しいうちは祝いごとのときの晴れ着として着たものですが、着古されたものは作業着としてふだん着て歩いたようです。(文献1-P61)」▼
説明2(製作方法) 黒白絣地、紺白絣地に、紺手織木綿布(折り曲げ)切伏、白木綿糸イカラリ、オホカラ刺繍。衿黒布。付け紐あり。裏地一部あり。様々な布で補修している。(所見:生田目)▼「もめん(文献2-P91)」▼「古いものは縞柄の着物に黒や濃紺の無地の布を切り伏せし、その上にイカラリといって、糸を置いて布を押さえながらかがっていって模様を作ります。そのイカラリした糸の両側にオホカラといって鎖のような形に小さな輪を作っては糸をかがって刺しゅうしてあるのです。明治初期に木綿の布が手に入るようになってくると、アットゥシ織りの着物はすたれていって木綿の着物が晴れ着として使われるようになってきます。明治二十五年に小学校が開校したころには、針も糸も自由に手に入るようになっていましたから、女たちは思い思いにていねいな刺しゅうをほどこして美しい着物を縫っては夫に着せました。男性に着せる着物には胸の方までも刺しゅうをして、女性の着物よりも多く手間をかけてあります。多くの人たちが集まるイヨマンテ(熊送り)の酒宴の席などは、その刺しゅうの腕の見せ場でもあったわけです 木綿地は古くは青森や弘前方面から手織りのめくら縞、格子縞、たて縞などのものがなんらかの方法でアイヌの手に渡ったものと考えられ、古い着物のほとんどは、そういう縞柄のものであり、花絣の木綿が使われるようになったのはだいぶ後のことです。そして古い着物にはアットゥシアミプと同じようにおくみがついていませんが、和服が入手できるようになったり、学校の先生の奥さんの指導で女子青年団の人たちが二風谷図書館に集まって縫いものを習うようになってからは、和服仕立ての着物に刺しゅうをほどこすようになりました。(文献1-P60.61)」▼
博物館資料No. NAH-M-19910633
収蔵場所 平取町立二風谷アイヌ文化博物館
文化財指定 国指定重要有形民俗文化財

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その他

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  1. チカペ(チニンニヌ
    切り伏せ刺繍をした袷の着物
  2. カパリミ
    白布の切抜文様をはりつけた木綿衣

  3. 鹿の皮で作った衣
  4. モウ
    女の肌着
  5. マタンプ
    男の鉢巻き
  6. コンチ
    頭巾
  7. アットゥクッ
    あつし帯
  8. マンタリ
    前掛け
  9. チカミコテ
    手甲
  10. サコ
    夏用の脚絆
  11. サシタビ
    刺し足袋
  12. ケリ
    鹿の皮で作った靴
  13. チェケリ
    鮭皮で作った靴
  14. ストゥケ
    ブドウヅルの皮で編んだわらじ

  15. 軟雪用かんじき
  16. チンル
    堅雪用かんじき
  17. イエオマ
    おぶい紐(育児用)
  18. キライ
    櫛(化粧用具)
  19. ラスパカ
    さびたの皮(化粧用具)

  20. 針刺し(裁縫用具)
  21. ケモヌイトサイェ
    針刺し(裁縫用具)
  22. ヌイトサイェ
    糸巻き(裁縫用具)
  23. タマサイ
    玉飾り
  24. ニンカリ
    耳飾り
  25. レクトゥンペ
    首飾り