種別・分類 | 祈る・祝う(祭祀・儀礼用具) |
アイヌ語名 | チセコロカムイ cise-kor-kamuy |
和名 | 家の守護神 |
サイズ(mm) | 長840 径76 槍・長620 |
材料・材質 | 家の守護 |
製作者 | 二谷国松家の者か |
収集(製作)時期 | 1969/昭和44年 |
収集(製作)地域 | 二風谷 |
説明1(使用場所・方法) | 「新しく家を建てたときには、カムイニスク(神を頼む)といって、チセコロカムイ(家を守護する神)を造り、家の東の隅に安置します。しかし、家を建てたからといって、いつでもカムイニスクできるというわけではありません。木の成長期に当る四月から七月までの四か月間は、木の皮がはがれてしまうため、樹木を御神体とするチセコロカムイ、アイヌエプンキネカムイ(特定の人間を守る神)、アユシニカムイ(村に病気が侵入するのを防ぐ神)などは造りません。造る必要のある神は、時季を待ってから造ります。(文献1-P260)」▼ |
説明2(製作方法) | チセコロカムイだけは、槍にチェホロカケプを使う。左側に槍を持ち、刀を差し、右側はあけておく。▼「ドスナラ、ミズキ、ヤナギ(文献2-P158)」▼「神造りを依頼された人は山に行き、つるがらみの跡とか節などのない美しい木をさがして、必要な長さだけ切ってきます。今から約八十年前に二谷国松さん宅で造られたチセコロカムイの御神体は、直径七センチ、長さ八十五センチで、これは特別大きい方で、これより小さいものの方が多いようです。御神体には、樹木の神々の中でもいちばんすぐれていて、もっとも強いとアイヌが信じているチクペニ(えんじゅ)の木か、それがなければプンカウ(どすなら)の木を使います。上端を水平に切り、下の方を削りとがらせたら、上から十センチほど残し、その下に約五センチおきに三段、エラペロシキという削りを入れます。このエラペロシキというのは、木の皮を上から下へそぐようにマキリで削りを入れるもので、鳥が羽を逆立てたように見えるところから「エ=それ、ラ=羽、ペ=もの、ロシキ=たてる」と呼ばれます。これを一段に等間隔で三か所ずつ入れ、各段互い違いになるようにします。二段目と三段目の間の正面に、カムイサンペ(神の心臓)を入れるやや長めの削りを入れます。水平に切った上端の切り口は御神体の顔になる部分ですが、ここにエパロ(口つける)といって正面に向かって左から右へ刃物で一筋の切れ目を入れます。次に正面三段目のエラペロシキのすぐ下から真下へ向かって、マキリで木の皮をはぎ取ります。これをトゥエアフンケ(内臓を入れる)といいます。一方で神の着物になるイナウキケも用意されると、ここまでできた御神体は外の祭壇のそばに立てられます。家の中では生木を火にくべて燠を作ります。そして、「火の神よ、あなたと今からこの新しい家を守る神を造ります。どうぞ神の魂を一つお与えください」といいながら、その燠を火箸ではさみ、杯に入れてあるきれいな水の中へぽとんと落とします。燠はじゅっと白い湯気をあげながら消えます。この消し炭をお膳にのせて、ロルンプヤラ(上座の窓)から外へ出します。この消し炭をイナウキケで包み、カムイサンペとしてさきほど長く皮をそぎかけておいた間に入れ、皮をかぶせて押さえこみ、イナウキケを巻きつけてしばります。そしてこのイナウキケの帯の左腰によもぎで作った刀を差します。神に持たせる万や槍をよもぎで作るのは、よもぎは地球上でいちばん最初に生えた植物であり、よもぎの刀で切られたりよもぎの槍で突かれた魔物は、二度と蘇生することができないと信じられていたからです。ただチセコロカムイに持たせる槍だけは、チェホロカケプというイナウを使います。人間と同じように左の腰に刀を差し、左手側に槍を立てます。(文献1-P261.262)」▼▼ |
博物館資料No. | NAH-M-19910832 |
収蔵場所 | 平取町立二風谷アイヌ文化博物館 |
文化財指定 | 国指定重要有形民俗文化財 |