アイヌの人々の調理法は、「煮る」「焼く」「炊く」であり、季節によっては「生」で食べます。日常の食事には、オハウ・ルル(汁もの)、サヨ(粥)、ラタシケプ(煮物)、チマチェプ(焼魚)などがあります。オハウ・ルルは、山菜や鳥獣肉、魚肉を一緒に煮て、魚脂・獣油、海水などで味付けをしたもので、汁気が多い食べ物です。具の材料によっていろいろな種類・名称があります。サヨは副食的な料理で、穀物を水気を多くして煮たものです。ラタシケプは山菜や蔬菜、豆類を汁気がなくなるまで煮込み、魚脂・獣油、海水などで味付けをしたもので、鳥獣肉、魚肉は入れません。これらの料理に加えて、時々にサケやマス、イトウなどの焼き魚が添えられました。生で食べるものには、新鮮なサケやシカ肉がありました。
特別な食事として、イオマンテなどの大きな儀礼のときには普段の料理に加えて、特別な料理がつくられました。雑穀類を焚いたチサッスイェプ、雑穀類を焚いて、焦がしたスウケプ、シト(団子)などで、これらの料理は、人間だけでなく祖先や神々もともに食べ、ともに楽しむものでした。